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【前編】熊本市教育委員会による働き方改革をはじめとした様々な取組の、今までとこれから

子供たちの学びを支えるために日々奮闘されている学校現場の皆さまや、学校現場を支えるために様々な取組を行っている教育委員会の皆さまには、心から感謝しています。
今回は、教員の働き方改革にも積極的に取り組んでいる、遠藤 洋路(えんどう ひろみち)熊本市教育長にインタビューしました。前編、後編に分けてご紹介します。

ー昨年度は、子供たちはもちろんのこと、現場の先生方にとっても、新型コロナウイルス感染症の拡大の対応や、小中学校での一人一台端末を活用した学習の準備などでご負担・ご苦労の大きい年だったと思います。こうした中、熊本市では、いち早くオンラインを活用した指導に取り組まれ、先生方への手厚いサポートもされておりました。この間の取組や先生方の反応についてお聞かせいただけますか。

まずオンラインを活用した指導に関しては、終わったあとに、全ての教師、児童生徒、保護者にそれぞれアンケートをとっています。教職員の反応で一番多かったのは、子供同士が会って、顔を合わせ話をすることができて良かった、生活リズムが整って良かった、子供たちが自分のペースで学習ができて良かった、という肯定的な反応でした。
もちろん、タブレットやご家庭のICT機器を使ったので、家庭ごとの環境が違って大変だった、操作が難しかったといった声もありましたが、数でいうと少数で、肯定的な反応のほうが多かったので、総じて言えば、やってよかったと言えると思います。

参考〔K1〕写真(オンライン授業)

ーこの取組を今年度以降、どのように展開していくおつもりでしょうか。

今、一人一台の端末という体制での取組が始まったところです。やはり一度授業で使うことに慣れてしまうと、もう元には戻れなくなっている感じですね。導入の時は覚えなくてはならないこともありますから、大変だという声もありますが、いったん覚えてしまうと、どの学校でもタブレットのない授業は想像できないくらいの状態になるんですね。小学校は既にそういった状況です。教師一人一台、児童生徒3人に一台 を去年の段階 で整備していましたが、児童生徒は順番待ちをしながら使っていました。一人一台端末が導入され、やりたいことが自由にできる という状況になりましたので、今は前向きに取り組んでいます。

そもそも、一人一台端末を導入する目的は「子供が主役になる授業」であり、それに向けた授業改善です。今後に向けた展開については、子供が主役になるよう、タブレットや電子黒板を活用したいろいろな授業の方法を教育委員会が提案し、各学校の取組を広めていくことが大事だと思います。そのためにも各学校で、ICTをそれこそ好きなように使えることが重要です。課題はあっても、できるだけ自由に使える環境を守っていくということを大事にしたいです。

遠藤教育長2

ー熊本市では、「学校改革!教職員の時間創造プログラム」を策定するなど、学校の働き方改革を熱心に進めていらっしゃいますが、具体的にどのような取組をされ、どれくらい教師の負担軽減につながっているでしょうか。

「学校改革!教職員の時間創造プログラム」(以下「時間創造プログラム」)の実績については、HPにも方針や実績をまとめたPDFを公開しています。

一番大きく変わったのは、平成29(2017)年度は、1か月の時間外の在校時間、いわゆる残業時間が80時間を超えている教員が804人(約19.7%)だったのが、令和2(2020)年度実績は285人 (約 7.0%) 人へと65%減ったことです。

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図2

また教職員の平均的な残業時間についても、平成29 年度はおよそ40時間だったところ、令和2年度は約31時間へと23%減っています。令和2年度はコロナによる臨時休業もあったので、その影響もあると思います。そういう意味でも、どのくらい通常の年で残業時間が減少するかは、今年度以降が勝負だと思っています。

追加1 時間外の在校時間

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図3

部活動に関しては、新たな時間創造プログラムを踏まえ、外部団体を新たに作って、平日も、休日も全ての部活動の指導や運営に関わる業務を委託することを検討しています。教員のうち部活動指導をしたい人は、外部団体の職員を兼業して、部活指導に派遣されてくる、という仕組みです。

このことにより、部活動指導を希望しない教員はやらなくて済みますし、教員以外の方も指導に来られます。教員もお金をもらって指導を行うことができますし、勤務校が異動になっても、引き続き前の学校で指導を続けることも可能になります。これらの点から、教員にとってもメリットがあるのではないかと思っており、令和5年度から新しい団体による部活動の指導や運営が実施できるよう具体的に準備を進めています。

教頭業務については、よく言われるように、鍵の開け閉めなどは、他の組織や企業などを考えれば、ナンバー2がやるべき仕事ではないですよね。教育委員会でも、教育次長が鍵の開け閉めをしているわけではありません。なので、まず実際に教頭が行っている業務を整理・分類した後に、学校以外が担うべき業務や、他の教職員で分担できる業務を探り、教頭の実質的負担や負担感を減らしていきたいと思います。

遠藤教育長インタビュー風景

(後編に続く)




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