コロナ感染流行下での学校活動について 最前線で活躍する、小児科医に緊急インタビュー
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コロナ感染流行下での学校活動について 最前線で活躍する、小児科医に緊急インタビュー

変異株による子供への感染が急増するなど、先の見通しが困難な今、小児科医の坂本昌彦先生、今西洋介先生に、学校活動で留意すべきことや教師に届けたいメッセージなど、お話を伺いました。

今回インタビューに御協力いただいたのは・・・

昌彦プロフィール改3


坂本昌彦先生 日本小児科学会指導医

2004年名古屋大学医学部卒業。現在、佐久医療センター小児科医長。専門は小児救急と渡航医学。現在日常診療の傍ら保護者の啓発と救急外来負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクト責任者を務める。同プロジェクトの無料アプリは約25万件ダウンロードされ、18年度キッズデザイン賞、グッドデザイン賞を受賞。
みんパピ!みんなで知ろうHPV プロジェクト」運営メンバー。

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今西洋介先生 新生児科医・小児科医

新生児科医師。小児科学会専門医、周産期新生児専門医。2006年富山大学卒業。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの医療監修を務める。日本小児科学会健やか親子21委員。三姉妹の父、育休取得済み。m3(エムスリー)外部執筆者、Yahoo外部オーサーとして公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。「みんパピ!みんなで知ろうHPV プロジェクト」運営メンバー。


今西先生、坂本先生、今日はお忙しい中、インタビューに御協力いただきありがとうございます。最初に、おふたりの自己紹介、力を入れている活動について、ご紹介いただけますでしょうか。

坂本先生:長野県の佐久医療センターで小児科医をしています坂本です。保護者と医療関係者の共通言語をつくる、というコンセプトで正確な医療情報をわかりやすく冊子やサイト、SNSイベント等で伝えていく啓発プロジェクト「教えて!ドクター」の代表を務めています。2020年にはコロナ対策として、養護教員向けのセミナーやポスター制作も手掛けました。また、子宮頸がんの予防につながるHPV ワクチン接種の意義の啓発「みんパピ!
という活動も行っています。最近、厚労省も接種再開に向けて動く方針という記事をご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね。

みんパピファミリートップ画像

今西先生:大阪で新生児科医をしています、今西です。
漫画『コウノドリ』の医療監修をさせていただきました。漫画にも登場するように、科学的根拠のない都市伝説で自分を責める親御さんが多かったり、リプロダクティブヘルスや性教育の啓発の遅れから10代の望まない妊娠なども依然として多いことから、医療啓発の必要性を深く感じました。
その後、医療啓発に携わるようになり、坂本先生もおっしゃっていた「みんパピ!」の運営メンバーとして活動しています。

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普段の医師としての業務や生活を通じて、学校の先生との接点や連携の必要性を感じられていることはありますか?

坂本先生:佐久総合病院では地域の学校医も担当しているので、学校との接点は多いのですが、最近は発達障がい(神経発達症)の子供も増えています。学校という集団生活の中で生徒の発達特性に応じてケアをすることは非常に大変だと思います。にもかかわらず、先生方はとても丁寧に生徒のことを見ていらして、時には医療機関につないでいただけているので、ありがたいなと感じることが多いです。発達障がい以外でもそう感じる場面はあります。例えば起立性調整障害という自律神経の不調からくる体調不良があります。これは横になった状態から起き上がるときに、なかなか血圧が上がらずめまいや気分不良などの症状を起こすものです。この症状があると朝なかなか起きられずに学校に遅刻するケースも少なくありません。しかし、以前はこのような病気はあまり知られず、朝起きられないのは本人が怠けているせいだと学校の先生からも怒られることもありました。その結果孤立したり学校に行きづらくなり不登校になるケースもありました。最近は先生方も勉強されていて、学校でも理解が得られるようになったことで、受け入れ体制が改善されてきたと感じてます。感謝しています。

今西先生:そうですね。発達外来で先生と連携する機会もあるのですが、教師の皆さまは非常に頼りにしている存在です。集団生活から初めて見えてくる学習障害や困難なこともあるのですが、気づいたら適切に連携してくださいます。医療的ケア児のサポートなどにおいても、学校との連携はとても大事だと感じています。今後、学校とより連携し、壁のない状態を目指していきたいですね。

学校での児童生徒の活動において、コロナ対策の視点から、特に留意すべきことは何でしょうか。

坂本先生:新型コロナウイルス感染症の流行第5波は感染性がより高いデルタ株が主流となり、成人にも子どもにも感染者が急増しています。子どものほうが高い増加率を示しています。※1)
2学期の学校での感染者の増加が懸念される中、感染爆発段階の地域では、学校活動にも安全や感染対策の観点から、これまで以上の活動制限が求められる状況です。いっぽうで、学校の一斉休校は子どもたちの学びの場を奪うことにもなりますので、地域の感染状況に応じた柔軟な対応が必要です。

※1)参考文献
厚生労働省第48回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年8月18日開催)鈴木基先生提出資料

今西先生:現時点でこれからの感染状況を正確に予測することは困難ですが、2学期の学校再開については、全国一律の一斉休校を行うのではなく、それぞれの地域の感染状況に合わせて、やむを得ない場合には休校や学級閉鎖や分散登校などを考慮する必要があると捉えています。
同時に、学校活動を維持することは、子どもの健全な発育のためにもとても大切なことです。学校の現場においては、引き続き効果的な感染対策、例えば、教室の十分な換気や手洗いや、布やウレタンより不織布マスクが予防効果が高い、等が挙げられます

子供たちを守るためには、不織布マスクの大切さについて伺えますでしょうか。

今西先生:既に様々なエビデンスが示されている通り※2)、布マスクと比較して、不織布マスクは感染予防に重要な役割を果たします。

※2)出典: 内閣官房 感染拡大防止特設サイト

マスクの効果

他にも、専門家のお立場から、奨励されること、制限したほうが良いことなど、具体的に教えていただけますか。

今西先生:10代になるとウイルスの感染性が成人に近くなるので、中学校・高等学校には、小学校よりも強い感染対策が必要と考えられますので、リモート教育の積極的な活用が望まれます。また、部活動など課外活動でのクラスター発生が報告されているので、流行状況を考慮した制限も必要だと思います。

坂本先生:生徒はもちろんですが、先生ご自身も体調不良の場合は無理をせず休まれることも大事だと思います。また先生方の感染や重症化を防ぐためにも、希望する先生が少しでも優先的にワクチン接種を受けられるように配慮することが大切ではないでしょうか。

最後に、学校の先生へのメッセージをいただけますか。

今西先生:無条件に学校を一斉にクローズしたほうが良いと考えている小児科医はほぼおらず、コロナ禍で改めて学校という居場所の価値は社会全体が改めて再認識する必要があります。学校を支える先生方にエールを送りつつ、コロナ対策などについて少しでも参考になる情報をお伝えできたらと思います。今日は#教師のバトンを通じてお話できてよかったです。

坂本先生:学校の先生たちが多忙で大変という話は漏れ聞こえています。私たちが医療啓発の授業を提案した際にも、やりたくてもコロナの影響もあって通常の科目の授業をこなすので精一杯とお断りされるケースもあり、本当に大変そうだなと心配しています。そしてその大変さは、なかなか学校に関わらない一般の方には理解されない苦しさもあるのではと思います。
小児科医も感染対策をしながら最前線の現場で、子供たちを守るために戦っています。小児科医の多くは、子供の代弁者でありたいと考えています。子供はまだ自分の権利を言葉にしたり、うまく表現できません。だから医師が代弁者になる必要があります。そして、先生もそうなのだろうと思います。子供を支えたいという使命感という点で、小児科医と教師は仲間だと思っています。長引くコロナ禍で大変ですが、共に頑張りましょう。
繰り返しになりますが、先生ご自身がお元気でないと学校生活において子供を守ることはできませんので、どうか御自愛いただきたいと思います。

今日は本当にありがとうございました。

現場で日々奮闘する現職の教師、教職を目指す方々の皆さんで、学校の働き方改革や新しい教育実践の事例、学校にまつわる日常を遠く離れた教師、ベテラン教師から若い教師に、現職の教師から教師を目指す方々に、学校の未来に向けてバトンを繋ぐためのプロジェクトです。