【後編】江澤隆輔先生・庄子寛之先生インタビュー~教師も子供も幸せになれる働き方とは~
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【後編】江澤隆輔先生・庄子寛之先生インタビュー~教師も子供も幸せになれる働き方とは~

前編に続き、後編をご紹介します。


―お二人のご経歴から順風満帆な教師生活を送られたように見えますが、教職経験を通じて、最も失敗したことや、苦労されたことがあれば教えてください。また、そうしたご経験をどのように克服されたのでしょうか。

庄子先生:やはり人間関係ですかね。若い頃は「自分はこんなに学んでいるのに」という傲慢さから、相手に自分の正義を押し付けて、相手の正義を尊重することが足りなかったと思います。
子供との関係も簡単ではありません。例えば何か問題を起こした生徒への接し方も、「あなたが悪い」とただ叱り、責めるだけではダメです。どうしてそうなったのかという原因と、どうなりたいかという目的を考えなくては伝わりません。今も完全に克服できているわけではなく、常に過去の反省から学び、少しでも成長したいと思って向き合っています。

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江澤先生:1年目、2年目の頃は授業がうまくいかなくて、失敗続きでした。自分ではよい授業ができている、と思い込んでいたのですが生徒の力がついてこないし、話を聴いてくれないしで、悩みました。翌年に勤務校に着任したベテランの英語の教師がそんな私の授業を見てとことん指導してくださり、救われました。
また、ソフトテニス部の顧問として指導に没頭した時代があったのですが、生徒が卒業後、進学先で違う部活動を選んでいるのを知った時はちょっと寂しかったですね。大会でよい成績を残したのでもうやり残したことはない、という気持ちだったのかもしれませんが。

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―教師をやっていてよかったと感じるのはどういう瞬間でしょうか。

庄子先生:子供の成長をみられることです。子供は、教師が何もしなくても自然に伸び成長するものだと思います。でも、少しでも自分たちが声掛けしたことで「できるようになったよ、ありがとう!」と成長を分かち合えるのが楽しいです。
また、保護者の方の考えが変わる瞬間も嬉しいものです。私は保護者に学級通信を出しています。働き方改革と逆行しないか、と言われることもありますが、僕にとって学級通信は教師としてのライフワークなんです。「毎日出すなんて大変でしょう?」とよく言われますが、学校での出来事を丁寧に伝えることで保護者の方の「うちの子はどんなことを学び、どう成長しているか?」についての関心が高まったりするのを目の当たりにすると、全く大変じゃない、やりがいが高まる瞬間です。

江澤先生:月並みかもしれませんが、卒業式ですね。大切な生徒を送り出すのは寂しさもありますが、やっぱり卒業式は教師でよかったと思える時間です。卒業後、答えのない世界を生きていくことへの激励の気持ちが浮かんできたりします。実は私、中学3年生の担任をやるときは、卒業式で流すとは言わず、4月にクラスのテーマ曲を生徒に考えてもらうんです。生徒が選んでくるのは、例えば今年はラッドウィンプスの「正解」でした。それで、行事など折にふれてその曲を流すのですが、卒業式の日にテーマ曲を聴くと感動しますよ。


―江澤先生は、外国語科がご専門、庄子先生は道徳教育がご専門で、お二方ともご自身の実践を書籍やオンライン、研修会などで発信されていますが、それぞれの実践を通じて教師として得たもの、今の教育観につながるものがあればお聞かせいただけますか。

庄子先生:ひとつの教科の専門性を極めるのは大切なことだと思います。私は道徳教育という専門性を極めることにより、全国各地から講演に呼んでいただき出張してまわる機会が得られました。東京だけでなく、いろいろな地域の先生に出会い、語り合うことで、世界が広がり今の教育観につながりました。ラクロス関係の仕事を通じて海外とつながっていることも、広い世界に触れることで自分を知ろうという価値観につながっています。

江澤先生:セミナーや講演にお招きいただき、学校の外で仕事をしていると、教育関係者以外の人との関わりが増えていきました。色々な職業の方と一緒に仕事する経験から、生徒に働くとは何か、ということを語る時に、より俯瞰的に語れるようになり、説得力が増したと思います。
また、自ら発信する活動とはまさに、自分を知る活動です。自分の強み、売りがわからないことには何を発信したらよいかもわかりませんので。これからの時代を生きていくうえで自分を知り、発信することは大切だと思いますので、学校外での実践が子供たちとの関わりでも役立っていると思います。
 

―お二人とも教師の働き方改革について発信され、実践されていますが、一教師だけではできないことも多々あると思います。管理職や他の教師をどのようにして巻き込み、学校全体の取組に変えていかれているのでしょうか。すぐに実践できるコツも含めてぜひ教えてください。

庄子先生:教師の仕事は、時間を長くかけてやればやるほど成果が上がることばかりではないと感じています。そのためにも、時には終業後に予定を入れて、自分が決めた時間に帰れるよう、逆算してとことん考え尽くすことも大切だと思います。
また、働き方改革のために何か新しいことをする際に、足並みが揃えられないことを理由に反対されがちなので、「まずは試させてください」と、感謝の気持ちと謙虚さをもってコミュニケーションをするよう努めています。

江澤先生:庄子先生のおっしゃる通りですね。業務の状況を見ながらではありますが、退勤時間を予め設定しておくことは効果的です。私は車での通勤時間が30分ほどあるので、移動の隙間時間もハンズフリーイヤホンで外部の方々との打合せ時間に充てることにしています。そうすれば、緊張感をもって自分が決めた時間にあがれます。
あとは、無料で使えるICTツール、例えばSlackやLINEを導入することで、他の先生方ともやり取りも大幅に効率化されたと思います。


―最後に、教職を目指している方々に対してメッセージをいただけますでしょうか。

庄子先生:教師は、いい仕事だということです。教師を目指している方は、それぞれに、目指すきっかけがあったと思います。その時の気持ちを大切にしながら勉強して欲しいですね。「#教師のバトン」でも投稿されているような、厳しい面もありますが、そういったことも含めて、まずは自分の目で色々な現場をみて、御自身が感じたことをもとに判断してほしいです。
子供の成長をみられるのはとても楽しく、いい仕事なので私はおすすめします。

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江澤先生:まず、「#教師のバトン」のハッシュタグは、やっぱり見ておいてほしいと思います。そのうえで、きっと教職の魅力はもうわかっているから目指しているのだと思うので、色々なことを経験しながら、目指して欲しいですね。
そして、魅力的な教師になって欲しいです。自分が熱を入れて指導できると思うことや、これだけは誰にも負けないと言えるくらい誇りをもって生徒に伝えられる、強みを何かを持って欲しいです。例えば理科の先生なら、天体については誰よりも詳しく、生徒に熱く語りかけるといったように、何でもいいから、強みを持っている先生は生徒にも伝わりますし、魅力的だと思います。

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江澤先生、庄子先生、ありがとうございました!


現場で日々奮闘する現職の教師、教職を目指す方々の皆さんで、学校の働き方改革や新しい教育実践の事例、学校にまつわる日常を遠く離れた教師、ベテラン教師から若い教師に、現職の教師から教師を目指す方々に、学校の未来に向けてバトンを繋ぐためのプロジェクトです。